アシリパさんがいた!
わすれゆきキャスト紹介3角野優子「任那伽耶」
わすれゆき、三人目のキャスト紹介は、角野優子さん(任那伽耶役)。
ゆうこちゃんです。
言うていますけども、心の中では「アシリパさん」と呼んでます。
『ゴールデンカムイ』に出てくる主人公のアイヌの女の子ですね。
その理由は後でちゃんと話します。
今回、初共演。
初共演の役者が二人いまして、そのうちの一人がゆうこちゃんなんですね。
初共演ではあるけど、初顔合わせのとき初めましてで挨拶した瞬間、
「あ、似てるな」
って思ったんです。
自分と同じタイプの役者だ。
もちろん僕の思い込みかもしれません。
でも、芝居に対する感覚がすごく似てるなって感じたんです。
芝居って感情とか気持ちがすごく大事なんですけど、その気持ちや感情に任せっぱなしにすると、勢いだけになってしまうんですよね。
よくあるんですわ、
自分の気持ちが乗ってる時って、セリフが走って何をいってるのかわからない、それに気付かない役者って結構多いんですよね。
だって自分は気持ちよくやれてるから。
だから、
「めっちゃいい芝居をしてる」
って思っちゃう。
言ってみれば自己満足。
ゆうこちゃんの芝居を見てると、たしかに気持ちも込めるし、感情の振り幅も強いんです。
だから感情に走ってしまうこともあるんですけど、ちゃんとそれを自分で自覚してるんですよね。
自覚した上で調整している。
そこがすごく似てるなって思うんです。
上丹田、中丹田、下丹田ってありますよね。
丹田って普通はお腹のことを指しますけど、上丹田は眉間のあたり。
中丹田は胸。
僕は上丹田と中丹田を使う役者なんですよね。
中丹田の代表格でいうとブルース・リー。
ブルース・リーって胸のあたりが常に燃えてるじゃないですか。
あの燃えるような魅力。
僕もブルース・リーに憧れてるからこそ、SNSの名前もバッチョ・リーなんです。
それと同時にものすごく気にしいでもあるんですよ。
上丹田を使うというのは、頭の中にもう一人小さい自分がいるような感覚。
戦隊ヒーローって巨大ロボットに乗るじゃないですか。
敵が巨大化したら、こっちも巨大ロボットを出して。
そのロボットの頭のところにヒーローたちが乗って操縦するじゃないですか。
なんか、あんな感じなんですよ。
自分という身体を使って、頭のところにいる小さい自分が司令塔になって、自分を操作して演技してる感じなんです。
だから、
「あ、今感情に任せっぱなしになってるな」
とか、
「暴走しちゃってるな」
とかも、自分で操作してるからわかるんですよね。
時々、
「あ、操作間違えた」
って変な方向へ行っちゃったりもするんですけど。
多分、ゆうこちゃんもそういうタイプなんじゃないかなって思うんです。
そう思う理由が3つあって。
まず一つは、演出家から
「ここはこういうふうにやってほしい」
って言われた時、まずやってみるんですよね。
気持ちはどうだろうとか、
辻褄はどうなんだろうとか、
考える前にまず体を動かす。
動かして調整するタイプなんです。
僕もそうなんですよ。
身体を操作してみないとわからない。
動かしてみて調整する。
だから、
「こうやってみて」
って言われたら、ゆうこちゃんもすぐ体を動かすんですよ。
そこがすごく似てるなって思いました。
ここもブルースリーじゃないけど、まさに
「考えるんじゃない。感じるんだ」に近い。
もう一つ、似てるなって思うこと。
以前、Xでこんなつぶやきをした。
僕と同じように、下顎を使って芝居をしている役者さんがいるという投稿をしたことがあるんですね。
その時、ゆうこちゃんが妙に気にしちゃったらしくて。
「私の顎ってそんなにしゃくれてますか?」
みたいなことを言ってたんですよ(笑)。
いやいや、そういう意味じゃないんです。
別にアントニオ猪木になってるって言ってるわけじゃないんですよ(笑)。
そうじゃなくて。
僕にとって下顎というのは、表現のための道具なんです。
さっき、頭の中に小さい自分がいて、自分を操縦してるような感覚だって話をしましたよね。
その操縦席から身体を使って表現する中の一つが、下顎なんです。
気持ちというのは胸から湧いてきます。
その気持ちや感情が空気みたいに上へ上がってきて。
その空気を下顎の形でこねてるような感覚なんですよ。
粘土をこねるみたいに。
感情をそのまま出すんじゃなくて、下顎の形で整えて、言葉に乗せて相手へ届けている。
僕の中ではそんな感覚なんです。
ゆうこちゃんの芝居を見てると、それをやってるんですよね。
本人は多分、無意識なんだと思います。
でも、その場面その場面で顎の形が変わるんです。
顎で感情を作っている。
だから、
「あ、この人も同じことをやってる」
って思ったんです。
もちろん役者全員がそうではありません。
みんなそれぞれ、自分なりの身体の使い方があります。
でも、僕とゆうこちゃんは、その表現の作り方がすごく近い気がするんです。
僕がこの感覚を意識するようになったきっかけは、野村萬斎さんでした。
野村萬斎さんが、セリフや感情というのは顎の形ごと身体に覚えさせる、というようなお話をされていたんですよね。
それを聞いた時に、
「なるほど」
って思ったんです。
それから意識するようになったら、セリフを覚えるのが劇的に早くなりました。
文字で覚えるんじゃない。
感情だけで覚えるんじゃない。
顎の形で覚える。
そうすると感情も一緒についてくるんです。
だから僕は、ゆうこちゃんの芝居を見ていて、
「あ、この人も同じタイプなんだな」
って勝手に感じたんですよね。
みっつめ。
シーン稽古が終わったあとに、首をひねるんです。
「ちくしょう」
みたいな感じで。
でも、端から見たらちゃんと成立してるんですよ。
気持ちも伝わってる。
それなのに、自分の中では違う。
悔しそうに首をかしげたりするんです。
これも僕と一緒なんですよ。
僕も、自分の中では
「全然気持ちが入ってない」
「頭だけでやってる」
「全然ダメだった」
って思う時ほど、
「めっちゃ良かったね」
って褒められたりするんです。
だから、ゆうこちゃんもちゃんと身体は動いてる。
でも、自分の中では
「全然気持ちが入ってなかった」
って思ってるから、
「ちくしょう」
って悔しがるんじゃないかなって。
そう思うんです。
この3つがね。
すごく似てるなって思うんですよ。
僕と同じタイプであれば、
自分が
「今日めっちゃいい芝居できた!」
って思った時ほど、意外と周りの反応はそこまででもなくて。
逆に、
「今日全然ダメだった」
って思った時ほど、
「良かったよ」
って言われたりする。
そういうギャップがあるんですよね。
さて。
そんなゆうこちゃんなんですけど。
初共演なので、ロミ姉やひろしくんみたいに十年以上付き合いのある役者ではありません。
でも役柄的に、僕の役との関係・・どこまで言っていいんでしょうね。
役柄の説明をするとネタバレになっちゃうし、物語の中で伏せられていることもあるので、あんまり言えないんですけど。
『ゴールデンカムイ』でいうと、
僕が杉元佐一で、
ゆうこちゃんがアシリパさん。
そんな感じかなって思ってます。
だから心の中でアシリパさんって呼んでるんです。
漫画のアシリパさんって、きれいな顔してるのに、めたんこ変顔をする。
稽古場のアシリパさんも、写真とかを見てると、漫画のアシリパさんそっくりの表情をする。
だから、
「あ、アシリパさんがいる」
って思っちゃいまして。
それと同時に、『ゴールデンカムイ』の杉元とアシリパさんって、お互いを信頼して、お互いを守り合う関係なんですよね。
そういうところも、僕の役とゆうこちゃんの役の関係性がすごく似てるなって感じます。
僕が心の中でアシリパさんって思ってるのは、杉元佐一がアシリパさんを思うような気持ちに近いものを、この役の中で感じたからなんでしょう。(うまくつなげた!)
初共演なのに、この僕とゆうこちゃんを、そういう人物相関図の配置にした演出家の中山大介アニキ。
さすがだなって思っておりますわ。
実際問題ね。
お客さんも舞台を観ているうちに、
「あれ、この役の二人ってなんか性格似てるよね」
とか、
「あ、この二人ってもしかして……」
なんて思う瞬間があるかもしれません。
それくらい、この二人の関係性は面白いものになっていると思います。
ぜひ、そのあたりも楽しみに観ていただけたら嬉しいです。
ちなみに役の任那伽耶という名前は「みまな かや」と読みます。
これまた歴史上にかつて存在した地名から来ています。
3世紀から6世紀にかけて、朝鮮半島に存在していた国の名前ですな。
詳しく書くと、歴史認識とかでなんかめんどうくさそうなので、そこんとこは割愛します。




