ピザ回しを文字で説明しようとすると、
急に無理が出る。
「生地を上へ投げ、回転させ、受け取ります」
終わった。
説明としては間違っていない。
ただ、この文章だけを読んで華麗にピザを回せる人がいたら、その人はたぶん最初からできる。
僕は以前、
ピザ回しの本をKindleで出版した。
たぶん、世界初となるピザ回しの専門書だ。
タイトルは「its’ show ピザまわし」
技の名前。
手の動かし方。
生地を投げる方向。
いろいろ文章で説明する。
しかし、
ピザ回しは動きである。
回る。
飛ぶ。
腕を通る。
一方、文字は回らない。
ずっと同じ場所にいる。
図を入れることもできる。
でも、
どのくらいの速さで回すのか。
どちらへ傾けるのか。
どの瞬間に手を入れるのか。
それを1枚の絵に全部任せると、
絵の中の人だけが永遠に投げる直前で止まる。
気の毒だ。
そこで、
YouTubeに上げていた実演動画へのリンクを本の中に入れた。
文章を読んで、
「どういうことだ」
となったら、
リンクを押す。
すると、
さっきまで静止していたピザが、
急に回り始める。
ようやく働いた。
紙の本でもQRコードを載せることはできる。
でもスマホを取り出して、
カメラを向けて、
読み込んで、
となる。
URLを直接入力するなら、
さらに大変だ。
長い英数字を1文字ずつ確認している間に、
ピザを回したい気持ちが冷める。
生地より先に情熱が冷える。
その点、
電子書籍ならリンクを押すだけでいい。
文章でコツを読む。
動画で動きを見る。
もう一度文章へ戻る。
すると、
さっきまで意味不明だった文章が、
急にわかる。
文章に、
「動いて見せろ」
と言っても動かない。
動画に、
「ちょっと止まって、ここをじっくり説明してくれ」
と言っても流れていく。
だったら、
両方使えばいい。
文字と動画が、
「そこはそっちで説明してくれ」
と仕事を分ければいいのである。
読者は修行僧ではない。
すべてを頭の中で再現してもらう必要はない。
そしてこれは、
ピザ回しに限った話ではない。
Kindleを書くとき、
「本なんだから、文章だけで全部説明しなければ」
と思う必要はない。
たとえば、
実際の操作画面を見せたほうが早いなら動画。
音を聞いてもらったほうが伝わるなら音声。
配布したいものがあるなら別のページ。
本の役割は、
すべての情報をその中に詰め込むことではなく、
読者を「わかった」まで連れていくことだと思う。
だったら、
途中で本の外へ出てもいい。
むしろKindleは、
それがやりやすい。
リンクを押せば、
読者はそのまま次の情報へ移動できる。
電子書籍なのだから、
電子を使えばいい。
全部を文字で背負わなくていいのである。
僕の場合、
昔YouTubeに出した動画にも、
本の中で新しい仕事ができた。
動画、再就職である。
Kindleの中では、
ピザは1ミリも回らない。
本文は静かに待っている。
ところがリンクを1回押すと、
本の外でピザが猛烈に回り始める。
温度差がすごい。
Kindleを書くなら、
「何を書くか」だけでなく、
「これは本当に文字で伝えるのが一番いいのか」
も考えてみる。
文章が得意なところは文章。
動画が得意なところは動画。
それぞれに仕事をさせればいい。
Kindleは、
文字だけを置く箱ではない。
読者を理解まで連れていく入口にもできる。
だから、
文字だけでピザを回そうとしてはいけない。
文字は、
回らない。
ちなみにこの本、
「ピザ回し 本」で検索すればトップでググれる。



ばっちょさん、とりあえずKindleの中の動画のぞいてきました✨
電子の良さを最大限に生かした発信ですね!いろんな可能性を感じました。
それにしても多才だなぁ✨
ばっちょさん
「動画、再就職である。」がじわじわきてます🍕
昔のYouTube動画が、本の中で新しい仕事をもらってるの、なんだか嬉しい話ですね。
絵の中の人だけが永遠に投げる直前で止まってる、のところも想像してしまいました。
リンクから動画に飛んだ読者さんの反応って、届いたりしますか?