ロックマンを再現する刑事コンビ
わすれゆきキャスト紹介13藤井啓子:太之巡査部長役
ふじけいでっす!
ロックマンっていうゲーム、知っていますか?
ファミコンから始まって、スーパーファミコンやらプレステやらスイッチやらで何シリーズも出ている名作ゲームです。
今回、ふじけいと共演していて、その芝居を見ていると、
「ふじけい、なーんかロックマンに似てるんだよなー」
って思うんですよ。
髪型とか、表情とか、顔の輪郭とか含め、
今回の芝居でとにかく走り回るふじけいの動きやポーズや表情を見ていると、
なーんかロックマンっぽいんだよなー。
前回紹介した、ふっちーさん演じる稗田警部補の部下として、右へ左へと駆け回る。
その姿を見ていたら、頭の中でロックマンが走り回っている映像が浮かぶんですよ。
ロックマンって、発売当初から激ムズゲームとして有名でした。
僕もやったことがありますけど、本当に難しい。
ジャンプして。
走って。
敵を倒して。
武器を投げて。
ステージ中を飛び回る。
その光景と、今回のふじけいが重なるんですよね。
だから本気で思いました。
「今度からふじけいのこと、ロックマンって呼ぼうかな・・いや、やめとこ・・」
なぜなら、ふじけいには「ふじけい」という完成されたニックネームがあるからです。
知り合ってもう13年。
ずっと演劇仲間みんなが「ふじけい」と呼んでいます。
今さらロックマンなんて呼んでも浸透するわけがありません。
……というか。
実は一度、ふじけいに新しいあだ名を付けようとして大失敗したことがあるんです。
その名前が、
「どんちゃん。」
です。
なんで「どんちゃん」なのか。
昔、ふじけいが出演していた時代劇を観た時のこと。
ふじけいは四人組の兵士のひとりでした。
兵士たちの名前が、
甚兵衛。
官兵衛。
半兵衛。
みたいに「〇〇兵衛」で統一されていた。
それを見ていて、
「現代版なら、どん兵衛じゃないか。」
という、ものすごくしょうもない発想が頭に浮かんだんです。
それで、
「今度からふじけいのこと、どんちゃんと呼ぶね。」
と言ったら、
「うどんじゃないですかぁ!」
と、LINEでちゃんとツッコまれました。
でも、
「よろしくお願いします。」
とも返してくれたので、
その後ずっと「どんちゃん」と呼んでいたんです。
ところがですよ。
ふじけいがいないところで、
「どんちゃんはね。」
と話すたびに、
周りがキョトンとするんです。
「どんちゃんって誰?」
って。
そのたびに、
「ふじけいのこと」
って補足説明をしていたんですよ。
もう完全に、X(旧Twitter)と表記するようなもの。
毎回「どんちゃん(旧ふじけい)」と説明しないと通じない。
そのたびに周りからは、
「・・お、おぅ・・へー・・なるほどね・・うん、・・いい、、と思う・・よ」
的な反応。
その頃の僕は、
「いつか浸透する。」
と信じていたんですよね。
ところが全然浸透しない。
そのうち自分でも思い始めました。
「なんで俺だけ頑張らないといけないんだろう。俺もみんなと同じようにふじけいって言っちゃいけないのか?俺だって、ふじけいって言いたいよ!!」
って。
それでも途中でやめたら、
「あ、折れた。」
と思われるのも悔しかったので、その時に進行していた舞台の公演が終わるまでは意地で「どんちゃん」を貫きました。
そして次に共演するまで、3年くらい空いたんです。
2018年の『ライムライトを浴びて』。
その時には周りも初めましての人ばかり。
僕が昔どんちゃんと呼んでいたことなんて、誰も知りません。
だから僕も何事もなかったように、
「ふじけい。」
と呼ぶようになりました。
本人にも、
「今日から戻します。」
なんて宣言もせず。
静かに。
自然に。
何もなかったこととして。
僕の中では、ちょっとした黒歴史。
なんか滑った感がある。
その巻き添えを食らわせたふじけい、なんかごめん。
だから今回、
「ロックマンに似てる。」
と思った時も、ふじけいは女性だから、マンではない。
だから、
「ロックちゃん。」
「ロク子さん。」
なんて呼ぼうかなとも思いました。
でも、
「どんちゃん事件」
を経験しているので、やめておいてあげようと思いとどまりました。
人は学ぶ生き物です。
さて。
そんなふじけいが演じるのは、太之巡査部長。
前回紹介した、ふっちーさん演じる稗田警部補の相棒です。
もちろん、この「太之」という名前にもちゃんと意味があります。
歴史好きの方なら、
「太之っていたか?」
と思われるかもしれません。
これはおそらく、
太安万侶(おおのやすまろ)がモチーフなんですね。
稗田阿礼は、圧倒的な記憶力で神話や伝承を語った人物。
そして太安万侶は、その語られた内容を文字としてまとめ、『古事記』を編さんした人物です。
つまり、
記憶する人。
書き残す人。
このコンビなんです。
今回のお芝居でも、
稗田警部補が推理を組み立て、
太之巡査部長が走り回って裏付けを取る。
この役割分担が、古事記の稗田阿礼と太安万侶の関係にも重なっているんですよね。
その関係性が分かったとき、
「なるほど。」
と思いました。
登場人物の名前だけでも、ちゃんと意味があるんです。
もちろん、歴史を知らなくても普通に現代ミステリーとして楽しめます。
でも知っていると、
「なるほど。」
が増える。
そういう楽しみ方もあります。
ここまで読んで、
「あれ、ふじけい本人の話、どんちゃんしかしてないじゃないか。」
と思った方。
ご安心ください。
ここからです。
今回のふじけいの芝居を見ていて思うのは、
人に染まらない役者だなということなんです。
もちろん、これは悪い意味ではありません。
周りにさほど流されない。
多少は流されるけど。
その特徴が、今回ものすごく良い形で役にハマっています。
それが、ふっちーさんとのコンビ。
前回も書きましたけど、
僕はふっちーさんとは同じ土俵で勝負したくありません。
あの人の演技は、
「柔よく剛を溶かす。」
だから。
まともに同じ方向でぶつかったら、食われます。
でも、ふじけいは違う。
乗らないんですよ。
ふっちーさんのペースに。
あえて乗らない。
だから成立する。
だから面白い。
その絶妙な距離感が、よき!
そして、その関係性を見ていて、
「やっぱりロックマンだ。」
と思いました。
ロックマンって、ステージを自由に選べるゲームなんですよね。
ボスを倒すと、そのボスの能力が使えるようになる。
でも、その能力には相性があります。
ボスAの能力はボスBには効かない。
でもボスCには抜群に効く。
逆にボスBの能力はボスAに強い。
だから、
「どの順番で攻略するか。」
が大事。
今回のふっちーさんとふじけいも、まさにそんな感じなんですよ。
ふっちーさんという強烈な個性。
そこへ真正面からぶつかると喰われる。
持ってかれる。
ふじけいはふっちーさんと相性がいい稀有な役者。
なぜならふっちーさんの柔よく剛を溶かす芝居に乗らないから。
乗らないからこそ、ふっちーさんをあえて空回りさせて笑いをとる。
僕だと張りあって消耗してしまうところ、
ふじけいは張りあわないところがこの刑事コンビのよきバランス。
だからおもしろい。
だからロックマン。
ぜひ、この刑事コンビが登場したら、そんなところにも注目してみてください。
ふっちーさんの魅力を引き立てながら、自分もちゃんと存在感を出している。
その絶妙なコンビネーション。
そこも、この作品の大きな見どころの1つだと思います。
以上。
どんちゃん(旧ふじけい)のキャスト紹介でした。


