飽いた赤鬼
理不尽極まりなき鬼ルール
飽いた赤鬼
習い事帰りの18時から18時半までの30分間、
近くの公園にしけこむ。
その際、
僕は必死に娘からある言葉を放たれないよう尽力する。
その言葉とは、
「おとうさん、おにごっこしよー!」
できうる限りこう言われないように努めているが、
ほぼ100%言われる。
だからいかになるべく遅めに言わせるかが勝負なのだ。
娘との鬼ごっこ。
正直申し上げます。
超!
絶!
つ
ま
ん
な
い
っ
す
!
!
!
!
ま
っ
た
く
も
っ
て
面
白
く
な
い
に
も
ほ
ど
が
あ
る
!
超超超!
超超超超!
おもんない!
はよおわれ!
できるならしたくない!
娘の鬼ごっこのルールには、
人間のやる気を根こそぎ削ぎ落す要素がふんだんに盛り込まれていやがるんです。
まず、
確実に僕が鬼です。
これはまぁ、許せる。
問題は逃げる娘。
安全地帯があります。
それは、滑り台。
滑り台には鬼は入ってはいけないという初めて聞くルール。
当然、彼女は滑り台にこもる。
滑り台にこもっている間は、触れてもいけないらしい。
それなのに、
「おいかけてきてよー。」
と言いやがる。
たまに滑り台から離れるその隙を狙って追いかける。
捕まえる寸前になると、
娘は腕をクロスさせて、
「ばりあ!」
と言いやがる。
バリアされると鬼はタッチしてはいけないらしい。
基本的に腕をクロスしながら逃げるからどうにもならない。
追いかけたところで捕まえられないのだから無駄でしかない。
たまーーに、
ほんのたまーーに、
娘がバリアしそこねてタッチできるときもある。
でもそんな時でも、
「こころのなかでばりあしてたの!」
と言い張る。
お前は常任理事国か!!!
理不尽極まりない。
この時点で僕は無気力無表情になる。
あげくのはてに、
娘が鬼になった時は、
逃げようとする僕に、
「にげちゃだめ!」
と、碇シンジを押し付ける。
ちょーーーーーーつまんない。
僕は飽いた赤鬼。
娘を追いかけるのをあきらめ、
公園の時計が30分になるのを目で追いかけることしかできない。


