天へとほとばしる情熱。そびえ立つ女優。
わすれゆきキャスト紹介2藤裕美「中乃オミコ役」
キャスト紹介第二弾は、藤裕美(中乃オミコ)
ロミ姉です!
そびえ立つロミ姉です。
とにもかくにも、立ち姿がかっこいいんですよ。
ロミ姉が舞台の上に立っている姿を見るたびに、僕はあるものを思い出します。
大阪万博の「太陽の塔」。
岡本太郎作。
いやいや、悪口じゃないですよ。
悪口じゃないですからね。
太陽の塔みたいな顔をしてるとか、そういう話じゃありません。
太陽の塔って、ただ大きいだけじゃないんですよね。
あの場にどーんとそびえ立っているだけで、芸術とか情熱とか、生きるエネルギーみたいなものが上へ上へと噴き上がっている感じがするじゃないですか。
それなんです。
ロミ姉が舞台の上に立っている姿を見ると、情熱が体の中から上へ上へと立ち昇っているように感じるんです。
だから僕の中では、太陽の塔なんです。
最近は太陽の塔をモチーフにした「タローマン」という、わざと昔の特撮っぽく作られた映像作品があるので、ロミ姉を例えるとタローマンまでセットで思い浮かべられてしまうのが少々困るところなんですが(笑)。
でも、とにかく太陽の塔なんですロミ姉は。
本当にかっこいい。
しかも、この印象は初めて見た日から、一度も変わっていません。
ロミ姉を初めて見たのは、たしか2011年だったと思います。
15年ぐらい前ですね。
ロミ姉が出演していた新選組のお芝居を観に行ったんです。
僕とひろしくんが出会った新選組とは別の劇団、別の作品です。
そこでロミ姉は、新選組局長・近藤勇を演じていました。
局長という立場で仲間を失い。
局長という立場だからこそ、自ら仲間を斬らなければならない。
そんな葛藤を抱えながら、舞台に立ち尽くす場面があったんです。
その立ち姿たるやもうあなた!!
照明を浴びながら、じっと立っているだけなのに、ものすごい存在感。
やんなっちゃうぐらい、かっこいい。
実は僕自身、その少し前の2008年頃から、
「立ち姿って、本当に大事だよな」
と思うようになっていました。
役者を見る目が少し変わってきた頃だったんですね。
だから余計に衝撃でした。
ぶっちゃけ正直申し上げますと、その新選組のお芝居は、ロミ姉の立ち姿以外、まったく覚えてません!
それぐらい衝撃だったんです。
それが、ロミ姉という役者との最初の出会いでした。
なんでこの人は、立っているだけでこんなにも存在感があるんだろう・・?
その答えが分かったのは、しばらくしてからでした。
ロミ姉、フラメンコをやってるんですよ。
それで一度、フラメンコの公演を観に行ったことがあります。
やっぱりフラメンコって情熱なんですよね。
踊りももちろんなんですが、劇場全体が熱気に包まれていくような感覚があるんです。
「ああ、なるほど。」
「ロミ姉の立ち姿は、ここから来てるのか。」
そう思いました。
ちょっと余談なんですが、その公演で一番衝撃を受けたのは、実は踊りじゃないんです。
手拍子でした。
出演者が音楽に合わせて手を打つんですが、その音が尋常じゃない。
ズパァアーンッ。
ズパァアーンッ。
手を叩くたびに、衝撃波が走ってるかのような。
日本の和太鼓の大太鼓って、胸の奥まで響くじゃないですか。
あれに近いものを、たった一人の手拍子で感じたんです。
「なんだこの人がまるでソニックブーム」
パンフレットを見たら、その人がフラメンコの先生でした。
そりゃあ、ロミ姉も太陽の塔になりますわな。
この先生から教わってるんだから。
妙に納得した瞬間。
それ以来、ちょこちょこと稽古場で会うようになったんです。
ロミ姉が出演する舞台が僕の知り合いの劇団だったので、僕も稽古場へ遊びに行っていました。
本役の役者さんが来られない日は僕が代役をやって、ロミ姉と芝居をすることもありました。
共演ではないんですが、稽古場では一緒に芝居をしていたんですよね。
その頃から、
「いつか共演したいですね。」
なんて話をしていました。
共通の知り合いも多かったですし、
「かなり近いうちに一緒にやるだろう。」
ぐらいに思っていたんです。
ところが、それから15年・・。
その機会、一切ナシ!
ロミ姉は出産を機に、しばらく演劇活動を控える時期がありました。
僕も娘が生まれてからは、以前ほど舞台に立たなくなりました。
お互い、子育てを優先する時期だったんですね。
だから自然と時間だけが過ぎていきました。
それから、お互い子どもが少し大きくなって。
また少しずつ舞台に戻るようになりました。
ようやく同じ作品に出演することになったのが2年前。
ギリシャ劇。
僕もロミ姉も出演していたんですが、その作品ではぜんぜん絡みがなかったんですよね。
だから、同じ舞台には立っていたけれど、役者として掛け合いをすることはありませんでした。
そういう意味では、今回の『わすれゆき』が初共演。
15年越しに、ようやく実現しました。
なんだか不思議ですよね。
もっと不思議なのは、うちの娘とロミ姉の娘さんたち。
日曜日の稽古には、お互い子どもを連れてくることが多いんですが、初めて会ったその日から、あっという間に仲良くなってしまいました。
僕たちが稽古をしている間は、子どもたちは子どもたちで一緒に遊んでいます。
だから娘も、
「ロミ姉の子どもたちに会えるから、お芝居の練習に行くのが楽しみ。」
と言うようになりました。
親が15年かけてようやく共演しているのに、子どもたちは15分もかからず仲良くなるんですからね(笑)。
子どもってすごいなと思います。
それと、もう一つだけ感慨深いことがあります。
ロミ姉はお子さんが二人いるんですが、上のお子さんが生まれた時のことを僕ははっきり覚えています。
Facebookに投稿されていた写真。
生まれたばかりの赤ちゃんを、涙を流しながら見つめているロミ姉の姿。
その写真が、ずっと記憶に残っていました。
それから10年ほど経って。
稽古場に娘さんを連れて来た時、初めて会ったんです。
僕の中では、あの時写真で見た赤ちゃんが、そのまま10歳になって目の前に現れたような感覚。
時が経つのは、本当に早いですね。
お互いに子どもが生まれて。
子育てをして。
それでもまた舞台に戻ってきている。
そんな時間の流れまで含めて、今回の共演には特別なものを感じています。
さてさて。
そんなロミ姉が演じるのは、中乃オミコ。
一番最初にキャスト紹介した、ひろしくん演じる役の相棒です。
ひろしくんが中臣鎌足をモチーフにした役名の中臣カムイなら、その相棒であるロミ姉の役、中乃オミコは当然、中大兄皇子です。
ふたりは、雨乞い師(藤原晴天)の弟子です。
ひろしくんの紹介でもお話ししましたが、語りの芝居って、見た目から伝わる情報が本当に大きいんですよ。
人間は視覚情報、聴覚情報、言葉の情報から相手を判断すると言われますが、その中で言葉が占める割合は意外と少ないそうです。
もちろん、お芝居はセリフで進んでいきます。
でも、そのセリフに説得力を与えるのは、やっぱり立ち姿や表情、体の使い方なんですよね。
ひろしくんには、大地にしっかり根を張ったような安定感があります。
一つ一つの動きに理由があり、重心がぶれない。
一方でロミ姉は、情熱が上へと立ち昇っていくような立ち姿をしています。
片や大地に根を張り、片や天へと上る立ち姿勢。
この対照的な二人だからこそ、生まれる空気があるんじゃないかなと思っています。
そう考えると、本当に不思議なんですよね。
僕が初めてひろしくんを知ったのも、新選組のお芝居でした。
初めてロミ姉を知ったのも、新選組のお芝居でした。
もちろん、同じ作品ではありません。
別々の劇団で、別々の作品です。
でも、どちらも新選組だった。
その時は、この2人がいつか同じ舞台でコンビを組むなんて、想像もしていませんでした。
それから15年近い年月が流れて。
作品は違えど、新選組のお芝居で出会った二人が、今こうして『わすれゆき』でコンビを組んでいます。
人と人の縁って、本当に不思議ですね。
そんな二人が舞台の上で、どんな景色を見せてくれるのか。
僕自身、とても楽しみにしています。




