この男、100%につき・・。
わすれゆきキャスト紹介1「中島浩志」中臣カムイ役
チラシに表記されている順番でキャスト紹介をしていきましょう。
トップバッターは中島浩志(中臣カムイ役)のひろしくんですね。
こういう言い方はあまり良くないかもしれませんが、僕が100%信頼している役者です。
ひろしくんって、本当に地に足のついた演技なんですよね。
表現一つ一つにちゃんと根拠があるんですよ。
型破りな役だったとしても、それをちゃんと自分の芝居に落とし込んで、地に足のついた人物にしていくんですよね。
役者のメソッドとか基礎とか理論とかを、しっかりと自分の体の中に落とし込んでる役者なんですよね。
だから、地に足のついた演技というと、無難な演技とか型通りの演技というふうに、ちょっとマイナスに捉えてしまうところもあるんですけども。
ひろしくんの場合はですね。
自分の持っている知識とか経験とかメソッドとかスキルとかですね。
そういうものに基づいた上で、今まで自分が演じたことがないことでも、幾度となく考え、何度も稽古して、自分のものになるまで落とし込んでいくんですよね。
だからこそ、100%信頼できるという一点につながるんですが。
役者って、今までの自分のパターンとか演技のやり方に慣れてきて、だんだん楽になってくるんですよね。
「こういう役だったら、こういう芝居だったら、こんなふうに演じればいいだろう」
っていう、ある程度自分の中の型ができてくるんですよ。
そうすると、こなれてしまった、ちょっと無難な芝居に陥ってしまうところがあるんですけど。
ひろしくんの場合、自分の経験したことのないことがあれば、またそこから学んで、練習して、稽古して、自分の引き出しを広げていくんですよね。
だから芝居がぶれない。
しっかりと積み上げた演技でありながら、ちゃんとその役を成立させていく。
根拠のある人物に作り上げていくところなんですね。
だからこの100%という意味合いがですね。
自分の型から例え120%、200%外れているものでも、自分の中の100%に当てはめていくというか。
当てはめきれない時は、自分の型を広げて、そして広げた器での100%にしていく。
そういう役者なんですよね。
他にも、この100%という意味は、決して場を乱さなかったりとか、他の役者への気遣いとかですね。
あと、これはコロナ前のことでしたけど、自分が体調悪かったり不調だったりしても、一切口に出さないし、顔にも出さないんですよね。
後から聞いて、
「実はあの時こうだったんだ」
っていうのを風の噂で聞いたりする。
そこまでめちゃめちゃすごいんですよ。
ただ、同じ共演者としては、
「そういうところは言ってくれよ」
というところはありますけどね。
とにかく自分の役のみならず、他の役者に対しても、芝居を良くしていくために一緒に考えていく。
作り上げていく。
良いものを作ろう。
お客さんに楽しんでもらおう。
そういう姿勢がめちゃめちゃすごいんですね。
おそらく、ひろしくんと共演した人って、こう思ってると思うんですよ。
「誰よりも自分が、ひろしくんと一番仲がいい」
って。
それぐらい、みんなに対して、
「自分が一番大切にされてる」
って思えるぐらいに接してくれるんですよね。
初めて共演したのが、10年前になります。
ある劇団の新選組の芝居だったんですが、その時にちょい役で、役者が足りないということで派遣されてきたのがひろしくんだったんですよ。
当時、金髪か何かで、耳にピアスをしてたんですよ。
見た目ちょっとチャラいですよね。
いや、ちょっとじゃないほどチャラい。
死ぬほど真面目なんですけど、見た目はめっチャラい。
金髪でピアスしてる。
しかも新選組だから侍の話でしょう。
「ロロノア・ゾロか」
って思ったんですね。
ロロノア・ゾロが来たと思いまして。
でも、ちょい役だったので、本当にワンシーンぐらいしか出ないような、セリフもそんなにない役だったので、
「ああ、なるほどね。誰か役者じゃない友達か何かを、人が足りないから呼んだんだな」
ぐらいにしか思ってなかったんです。
その時は。
でもね。
ゲネプロで、その走り方を見た瞬間でした。
「なんだこいつ」
って思ったんですよ。
ひろしくんの役どころって、新選組の一員ですけど、間者なんです。
スパイみたいな感じで敵方の動きを探る役。
だからステージの上でも、その場その場で走ってるように見せるんですね。
同じような立ち位置の役者と一緒に走るシーンをやってたんですけど、もう一人の役者はぴょこぴょこぴょこぴょこ、ジャンプしながら走る演技をしたいました。
ただねぇ、走るときにぴょんぴょんぴょんぴょん足を浮かせるのは、もんのすごく素人感が出るんです。
でも、ひろしくんは走る演技で、絶対に足を地面から離さないんです。
地面から離さずに、ムーンウォークをしてるかのように走りを表現する。
それがそのシーンですごい滑稽なんです。
滑稽だけど、顔はめちゃめちゃ真面目にやってる。
しかもこれ、意図的にやってるんですよね。
だから、めちゃくちゃ面白かったんです。
「なんだこの男?・・できる!」
衝撃を受けたんですよ。
その後、ひろしくんが関わっているピロシキマンという劇団の公演『街頭ブルース』を見に行ったんですね。
ほとんど主役でした。
やっぱりね。
計算している演技なんですよね。
一つ一つの動きを。
コメディ要素の強い芝居だったので、いろいろ小ネタを盛り込んでるんですが、
でも、それが笑わせることだけが狙いではなく、ちゃんとそのキャラクターだったらそういうことするよねって成立させるんですね。
セリフと動きもちゃんと連動させてる。
ちゃんとつながらせてる。
根拠のある演技をするんです。
「すごいな、この役者」
って思いました。
それ以来、
ひろしくんが座長の芝居にも僕は出させてもらったり。
僕演出の『ロミオとジュリエット』や『サムライマッチ』でも一緒に共演したり、劇団バナナにも出てもらったり、という仲。
今一番共演回数が多い役者かもしれない。
何かあったらまずひろしくんを呼ぶので(笑)
やばいなぁ。
キャスト紹介トップバッターで、かなりの文量を書いてるし、しかもまだ今回の役どころについて全然話していない。
ちょっとこのペースはやばいぞというところで、そろそろ今回の役どころについてお話ししておかないとなと思います。
役名は、中臣カムイ(なかとみのかむい)
この芝居は歴史上の地名や人物の名前をモチーフにして出てくるので、
念のため解説しておきます。
中臣鎌足(なかとみのかまたり)が役名のモチーフです。
台本を最初に見た時に、
「この役はひろしくんだろうな」
と思いました。
シリアスなシーンとコミカルなシーン。
何より、語りだけで場面とか心情の説明とか、回想とかを表現しないといけないところがあるんです。
ただ語るだけだと、絶対お客さん飽きてしまう。
そういうシーンがしこたまあるんですな。
勢いに任せてやっちゃうと、お客さんがついていけなくなってしまう。
でも、飽きさせないためにいろんなものを盛り込みすぎると、芝居のバランスというか、そのキャラクター的にも違和感が出てしまう。
その絶妙なバランスで、エンタメとして見せるところ。
語りで見せるところ。
動きで見せるところ。
きちっとした動き、メリハリのある動きで説明していくところ。
そういう、地に足のついた役者でないと厳しいだろうなという役。
そこはもう、ひろしくんだからこそ、安心して見られます。
キャスト紹介一発目で結構な文量になってしまいました。
しかもまだ一発目なので、どこまで役についてとかストーリーについてネタバレにならないように伝えていくか探りながらやっておりますが。
まずは、中島浩志のキャスト紹介でした。




