自分のことだからあえてボロクソに書く!
わすれゆきキャスト紹介6:石橋半零@物部役
わすれゆきキャスト紹介6人目。わし!!
チラシ順で紹介してるのでご容赦ください。
石橋半零:物部役
キャスト紹介を書くにあたって、まあ自分も出ているわけですから、自分の紹介もしないといけないですよね。
と言って、他の人に書いてもらって負担をかけるのもアレなので、自分で書くしかないんです。
でも、自分で自分を褒めまくるのもなんか嫌なので、自分のことだからボロクソ書いてやろうと思います。
自分のことを、誰か別の人が紹介している体で、自分に当ててボロカスに書いてみたいと思います。
さてさて、
とにかくね、この役者は本当に協調性がないんですよ。
全くもって。
なんかね、セリフ覚えが異常に早いことを自慢してるのかどうか知りませんけど、この稽古、四月から始まって、顔合わせの次の稽古ではもう台本を外して稽古してるんですよ。
みんなね、台本を手に持って必死に覚えながら芝居の稽古をしている中、一人だけ何もなし。
自分はセリフも覚えているからって、台本を外して演技してるんですね。
みんな一生懸命セリフを覚えようとしてる中にのうのうと。
しかもこいつね、学習してないんですよ。
そんなことをすることで、周りの役者がどれだけ迷惑を被るのかっていうのを。
十年前、シェイクスピアの芝居に出た時ですよ。
この役者、なんと読み合わせの段階で、すでにセリフを覚えてたんです。
みんな机に座って初めての読み合わせをしている中、自分のセリフのところを手で隠して、これ見よがしに、
「僕、セリフ覚えてますから」
と言わんばかりに、台本を見ないでセリフを言ってたんですよ。
そしたらベテラン役者さんから注意されてるんです。
「君ね。チームワークってわかる?」
って。
そんなふうに注意されてるくせに、十年経っても全然学習してないんですよ。
いきなり台本を外して稽古を始める。
迷惑極まりないこと甚だしい!!
そう思いませんか?
挙げ句の果てには、やらなくてもいいことまでやるんですよ。
演出家が
「これやって」
って言ってないよねっていうことまでぶち込んでくるんです。
この前ね、
娘にコケ芸を披露したらしいんですよ。
なんか高校時代にウッチャンナンチャンの内村さんのコケ芸を見て感動して、自分でも練習してたらしいんですね。
それを娘に見せたら、娘がものすごく喜んでくれた。
それで調子に乗っちゃって。
また練習し始めたらしいんですよ。
45にもなって。
そしたら欲が出ちゃって、
「どこかで芝居の中にコケ芸を入れたいなぁ」
って思ったんでしょうね。
やらなくてもいいのに、盛り込んじゃって・・。
「ちょうどいいところ見つけた!」
って、毎回やるんですよ。
しかも、この役者のけしからんところは、そこを入れたことで芝居自体を邪魔してないんですよね。
身体のコントロールがちゃんとできてるのか知りませんけど、転びながらでもセリフを言えるし、聞こえづらくなることもない。
毎回やってるもんだから、既成事実化して、そのまま演出みたいになってるんですよ。
演出家も別に
「それはやめて」
って言わないから、やめないでしょうけどね。
そうやって調子に乗って、どんどんぶち込んでくるわけなんですよ。
そしたら、この前もまた新しいことをやり始めたんです。
自分の身体能力を見せびらかそうと思ってるんでしょうね。
去年のお芝居で、高速移動というか瞬間移動みたいな動きを身につけたらしいんですよ。
宮本武蔵の足さばきをヒントに、『五輪書』まで読んで練習した結果、ちょっとできるようになったらしいんです。
去年の舞台でやったら、お客さんから
「動きがすごかった」
って褒められて味をしめたんでしょうね。
今回の『わすれゆき』でも、
「ここ使えるじゃないか」
って思ったんでしょう。
演出家から
「こういうイメージで動いて」
って言われたら、
「だったらこの動きもそのイメージの範囲だよね」
って勝手に拡大解釈してですよ。
初めての通し稽古で、いきなりそれをやるんですよ。
ずるいですよね。
通し稽古って止められないじゃないですか。
止められない中でぶち込んで、終わったあとに
「そこ、やめましょうか」
って言われなかったのをいいことに、
「じゃあ採用だ」
って既成事実みたいにしてるんですよ。
また見せびらかしてやろうって思ってるわけです。
でもね。
本番どうなるかわかんないですよ。
その時は裸足だったからできたけど、本番は雪駄を履いてますからね。
果たして雪駄を履いた状態で瞬間移動の足捌きができるのか?
もしできなかったら、自分の首を絞めることになりますからね。
まあ、自業自得だと思いますけど。
でもね。
この役者、それでも偉いところはあるんです。
ちゃんと我慢したこともある。
この役者、ピザを回すんですよ。
ピザ回しのパフォーマーとしても活動してるんですね。
初めて所属した劇団がピザ屋を経営していて、ピザ屋で働きながら役者修行をしてたらしいんです。
その経験を生かして、今ではピザ回しのパフォーマー。
インスタやYouTubeでもピザ回し動画をアップしてるし、専用のYouTubeチャンネルまで作ったくせに、二年間放置してるんですけどね。
旅行先でも観光名所でピザ回しをして、
「観光名所とピザ回しのコラボ」
みたいな動画まで撮ってる。
ピザ回しなんて珍しいもんだから、客演先の演出家から
「このシーンでピザ回ししてもらえませんか?」
って頼まれることもあるんですよ。
時代劇なのに殿様がピザ回しをしたり。
学園ものなのに理事長が生徒の前でピザを回したり。
チャンバラをしながらピザ回しをして、
「世界で初めてピザ回しをしながらチャンバラをしました!」
とか言って、めちゃくちゃ威張ってるんですよ。
今回の『わすれゆき』では、さすがに雰囲気的にも内容的にもピザ回しをするシーンはありません。
そこはちゃんと我慢したんです。
でもね。
実はこの役者、顔合わせの日にパフォーマンス用のピザ生地はちゃっかり持ってきてたんですよ。
ワンチャンあったら回そうと思ってたでしょうね。
でも結局そういう話にならなかったので、今回は封印。
そこだけは偉かったかなと思います。
そんな奴の役どころなんですけども、
ここまでキャスト紹介を読んできた方はお気付きだと思いますけど、役名が結構難しいんですよ。
こやつの役は「物部(もののべ)」
このあとも蘇我とか大友とか、日本史で聞いたことのある名前がたくさん出てきます。
物部氏といえば、日本古来の神々を信仰し、その祭祀を担ってきた一族です。
その名の通り、村の祠を守り、神に祈りを捧げる人物を演じています。
ただ、役者本人は、稽古中も
「ここでもう一個何かできないかな」
と余計なことばかり考えている人間なので、本番で何をぶち込んでくるのか、正直、未知数です。
……と言いたいところですが。
さすがに本番で稽古とまったく違うことをやるようなことはありません。
昔、それをやってこっぴどく怒られたことがあるそうなので。
そこはちゃんと学習したようです。
今では、稽古で積み上げたものを本番でしっかり再現する役者になりました。
どうぞ安心してご覧ください。
……安心していいのかな。




