勇気を出して、初めての産婦人科。産婦人科へ。父親の存在っていったい・・打ちのめされる安心感。
母子手帳を手に入れて僕は父親になる(第5話)
子供を授かり、僕は一生足を踏み入れることはないだろうなと思っていた場所に行くことができました。
産婦人科。どんなところなんだろうという興味があったのと、何もかもが初めての経験なので、休みの日はできるだけ妻と一緒に産婦人科に行きました。
とにかく自分は父親として何をしたらいいのかさっぱり分からないので、産婦人科に一緒に行けば、何かヒントが得られるかもしれない。
何より十月十日の産まれてくるまでを妻と一緒に体験したいと思っていたので、勇気を出して、初めての産婦人科。ドキドキ。
扉を開け中に入ると、そこは異世界でした。
当たり前なんですけど、妊婦さんがいます。たっくさんいます。廊下や待合室のイスにずらーっと並んで診察を待っています。
パッと見、男性いません。隅っこの方でスマホをいじくっている若いお父さん以外見当たりません。
入った瞬間、全員の視線が僕に向けられました。ものすごい場違い感・・。この光景、例えるとあれだ・・。
漫画でよく見るやつだ。武者修行をしている浪人が、道場破りに門を叩いた瞬間、その門下生たちからいっせいに睨まれるあの光景。
「なんだてめえは!?」
みたいな圧力。ほんとに入っていいのだろうか・・?
まぁこれは過度に産婦人科を異世界とびびりまくっていた僕の思い込みでしょうが、しばらくはびくびくしながら妻の隣で小さくなって診察の順番を待っていました。
待っていました・・。
待っていました・・。
待って・・、けっこう待ちますね!
相当待ちますね。そりゃそうだ、こんなにお母さんたちがいるんだもの。入った時の緊張感なんかもうとっくに溶けてしまい、もう眠くて眠くてたまりません。
やっぱり産婦人科だからか、母子ともに安心できる環境作りに配慮されているので優しい雰囲気に包まれています。そこにいるお母さんたちもお腹を撫でたりとかしていて、非常に穏やかな空間。室温もちょうどいいし。暑すぎず寒すぎず。居眠りするには最適すぎるほどの環境。
そんな産婦人科通いの楽しみは、エコー写真。最初は豆つぶよりもちっこくて何がなんだかわからない写真。
それが日を追うごとにどんどん大きくなって、毎回映像でも見せてもらってました。なにかかすかに動いてるなぁと思ったら、
「これが心臓ですね」
「うわ、すご!ほんとにいるんだ!」
心臓の鼓動ってすごいですね。本当に命が宿っているんだと感動しました。
これは動画に撮りましたね。そしたら先生が親切に教えてくれるんです。
「ここが目で、ここに足があって手があって、」
「先生、ちょっと静かにしてもらえませんか?」
余計な解説は不要。純粋にわが子の動く心臓を撮りたい。一分、二分・・切り際を完全に見失っています。
ずっと同じ映像ですよ。変わらずただただ心臓が動いている、言ってみればただそれだけの映像。
この後別に何かが起こるわけでもないんですよ。でもどうしても撮影をやめられないんです。止めたあとに、もしかしたら凄い事が起きるかもしれない。
いや、起こらないんですけど・・。もし起こったら撮影どころじゃない大変なことなんですけど、カメラを止めるな状態です。
さすがに先生から、
「そろそろよろしいでしょうか?このあと劇的に変化あるわけではありませんので・・。」
と言われようやっと、カメラを止めることができました。
「順調に育っていますよ。」
産婦人科でこの言葉を聴くと、ものすごく安心することができました。
なにもかもが初めての経験、ちゃんと育っているんだろうか?知らない間に取り返しのつかないことになっていないだろうか?
そんな時に、専門家の先生から、
「順調ですよ。」
と言ってもらえる。毎回その安心をもらうために産婦人科に通っていたように思います。
僕の中の一番の不安事項がありました。
生まれる時ってどうしたらいいんだろう?
出産の現場は壮絶だと聞きます。お父さんは何もすることができず、ただただ呆然と立ち尽くしているだけ、とも聞きます。
中には「私が痛い思いをして子供を産んだのにあなたは何もしてくれなかった。」とか、ひどい話になると「ゴルフに行ってた。」とか。
・・そうはなりたくない・・。
そう思っていた時に、産婦人科の先生が定期的に講座をやっていることを知りました。
お父さんお母さんのための出産の現場について、というような内容。出産の現場は壮絶だと聞いてはいましたが、聞くだけで僕は気絶してしまいそうです。
陣痛の痛みは男が味わうと気絶してしまうと・・それだけじゃなくて医療処置として会陰切開や帝王切開などなど・・。
「切ります」
「血が大量に出ます」
うへえ・・。
講座なのにもう気を失いそうだ・・。
実際の出産の時は僕は成すすべがなさそうだ・・。
この講座の中でも、出産に立ち会った父親がいかにダメダメなのかをけっこう話されていました。実際にはそんなに強調はしてないのかもしれませんが、僕がそこを重視して聞いていたので強烈に覚えているのかもしれません。
「お父さんはとにかく邪魔。」
お父さんは本当に何の役にも立たないみたいな感じの話でした。特に帝王切開の話をされた時には完全にノックアウトされました。
ある出産の現場で、帝王切開で取り出さないといけないというケースがあり、お父さんはその場に立ち会いたいと強く熱望されたと。先生は、絶対にやめといたほうがいいと言ったのに、
「でも!妻が痛い思いをしているのに、自分がその場にいてあげられないなんて申し訳ない!」
とあまりにも言うから仕方なく立ち合いを許可したらしいです。
窓越しなのかどうかよくわからないですけど、帝王切開って・・お腹を切ったら返り血がすごいらしいですね。シャワーを逆さにした時みたいに血がブシャー・・。居合わせたお父さん気絶したらしいです。
そしたらもうそっちの世話もしないといけないから、
「ほんと役に立たないです!マジ迷惑!」
みたいなニュアンスで話されていました。
この話聞いて、やっぱり父親って出産の現場では何の役にも立たないんだなと打ちのめされてしまいました。
と同時に、ちょっと安心もしました。自分がまったくもって役に立たなくても、先生や看護師さんがしっかりと無事に赤ちゃんを産ませてくれる。
役に立たないといけないという重荷からちょっと解き放たれた気がしたのもまた事実です。
壮絶な現場でたとえ自分が何の役にも立たなくても、プロに任せておけば大丈夫だという安心感は持つことができました。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
この連載記事は全16話を予定しています。
週2、Substackでは無料で配信します。



これは父親になる前の人達に読んで欲しいですね!
若い頃の私とか…
出産時にお父さんはとにかくジャマ、の言葉に笑ってしまいました😂バッチョリーさんがいざ!のときどうだったのか、続きが気になります✨