おかんの涙ぽろぽろと。とっくにあきらめていたのに、まさかこんな日が来るなんて・・。
母子手帳を手に入れて僕は父親になる(第4話)
妻のお腹に命が宿り、夫婦間に変化が訪れました。結婚する前は、一度も喧嘩したことがありませんでした。ところが結婚し、一緒の家に住み、生活を一にすると・・。
やはりお互いの価値観や習慣、想いの違いが見え隠れし、ひと月に一度は大喧嘩してしまいます。
夫婦喧嘩は犬も食わぬと言うように、今思えばほんとにしょうもない理由で喧嘩していたなあと思います。例えば、
僕はなるべく物を持ちたくないタイプですが、妻は捨てたがらない性格。買い物の時にもらった紙袋なんて僕にとってはゴミでしかありません。部屋を片付けしている時に、紙袋の束があったのでそれを処分しました。断捨離して気分爽快に
「おうち掃除したから。紙袋も捨てたよ。」
「なんで勝手に捨てるの!いつか使うために取ってたのに!」
それで大喧嘩。またある時は、お芝居の稽古帰りに妻が
「晩御飯にラーメン食べに行く?」
「うーん、ラーメンかぁ・・。」
「じゃ何が食べたい?」
「特にないけど、うどんでもいいかな。」
そんな会話のちに、しばらく車で帰っていると、
「やっぱりラーメンでもいいかな。」と僕が言うと、
「せっかくラーメンの気分から必死にうどんに切り替えてたとこなのに!」
「ラーメン食べたいなら食べたいって言えばいいでしょ!」
そこからまた大喧嘩。ついでにもうひとつ。僕の実家に帰省するとき、妻が手土産にお饅頭を買っていました。前日、お腹が空いていた僕は食べてしまいました。
「え?は?なんで食べるの!」
「だって自分の実家のだから食べてもいいでしょ!」
「いいわけないでしょ!」
妻は大激怒。・・・今思えば、これは完全に僕が悪いです。自分の実家に持っていくから自分も食べていいなどと、我ながら意味不明な理屈ですはい、すみませんでした・・。
こんな感じで月に一度は喧嘩をしていました。文章にしたら本に書く内容かというほどしょうもない理由ばかりですが不思議と夫婦喧嘩ってなぜか、譲れない戦いなんですよね・・・。
こんなに喧嘩ばかりして大丈夫なのかなぁ・・。この先うまくやっていけるんだろうか・・?そんな時に忘れもしない7月15日、
「あかちゃんが、できました。」です。
その日からピタっと喧嘩をすることがなくなりました。僕と妻との間にできた子ども。
夫婦は、もともとは他人同士ですよね。何十年も違う環境で育ってきたのだから、一緒に暮らし始めたら、すれ違ったりかみ合わなかったりぶつかったりするのは当然です。だけど妻のお腹に命が宿った瞬間、これから一緒に家族を築きあげていくという共通の目的、価値観が生まれました。何もかもが初めての体験。それを夫婦一緒に築き上げていく。
特に安定期に入るまでの数カ月間は夫婦の絆は本当に深くなったと思っています。安定期に入るまではまだ安心できないので、まだ誰にも言えない時期です。僕と妻の二人だけしか知りません。
夫婦二人だけが知っている新しい命の存在。早く安定期に入って安心したいという反面、この時期はお父さんお母さんとして子どもを迎え入れる心の準備の大切な時期だったと思います。
あ、誰にも言えない時期と書きましたが、親には言いました。僕の親にはひょんなきっかけで言いました。
お盆に実家に帰ります。両親一緒に晩御飯を食べます。その時に母が、
「ふたりともビールでいい?」
「お酒はしばらく飲まないからいらない。」
「え?どうして?せっかくいっぱいビール買ってきたのに。」
「えっと・・あかちゃんが、できました。」
「え?ああ、そうなんだ。そっかそっか・・。」
と言った母の目から、涙がぽろぽろ、ぽろぽろぽろぽろこぼれ落ちました。
ぽろぽろぽろぽろ。
ぽろぽろぽろろ。
「まさか、こんな日が来るなんてね。とっくに諦めていたのに。」
ぽろぽろぽろぽろ。
「ありがとうね、お嫁に来てくれただけでもありがたいのに、孫までできるなんて。ありがたい。ああ、ありがたい。嬉しいねお父さん。」
「うん、嬉しい・・。」
子供ができました報告。たまたまこんな展開で伝えることになったけど、電話やメールではなくて、面と向かって伝えられてよかったと思います。僕も妻も、両親の涙を見てうるうるしちゃいました。
何度も何度も「ありがとね。ありがとね。」という母。その声はお腹の子にもきっと聞こえているでしょう。いや、まだ耳などはできていないから聞こえてはいないか。でも、妻が聴いています。喜ぶ母の姿を観ています。妻の感情を通して、
「あなたはこんなにも望まれているんだよ。」
ということが伝わったんじゃないかと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
この連載記事は全16話を予定しています。
週2、Substackでは無料で配信します。
第三話はこちら↓
結婚なんかしたくない!あれ?なんかいつのまにかプロポーズすることになっていた。
妻とは演劇で知り合いました。同じ舞台に共演したことがきっかけでお付き合いをし、一年後には結婚。自分の人生に、結婚があるなんて、はっきり言って考えられないことです。




今分かりました。バッチョさんは、そのご両親あってのお人柄でいらっしゃるのですね。何か視界がぼやけてうまくタイピングができません。
お子さんができてからの変化に、
ほのぼのしてしまいました。
お母様含め、とても素敵なご家族💓ですね!