物語を紡ぐ人たち
BACCHO TO THE FUTURE 6
今週は「物語を紡ぐ人たち」と出会った一週間でした。
目次
10歳の男の子が、本を出版しようとしている
キョウちゃんの物語世界に触れて驚いた
新刊『演技力を高める日常の使い方』出版キャンペーン
今週のスポットライト——クコさんの「養生堂カフェ」
10歳の男の子が、本を出版しようとしている
まず最初に伝えたいのが、10歳の男の子、キョウちゃんのお話です。
キョウちゃんはいわゆる不登校で、学校に行っていないそうです。
それについて親子でずいぶんと苦しんだ時期が長く続いたそうなんですが、今回自分で物語を書いて、自分で挿し絵を描いて、Kindle出版するというチャレンジを始めることになりました。
そのお手伝いをさせていただくことになったんです。
ただ単に自分の作品を本にしたい、というだけじゃありません。
自分と同じように学校に行けなくて悩んでいる子たちに、「大丈夫だよ」「僕もこんなチャレンジができているよ」と伝えたい。
そういう子たちへの励ましになりたい、背中を押してあげたい——そういう思いがあってのチャレンジだと聞いて、すごく感動してしまいました。
今まさに自分も日々悩んでいたりするでしょうに、そんな真っ最中な中でも、同じように悩んでいる子たちのことを思える。
その優しさがね、本当にすごいなと思って。
キョウちゃんが20歳になった時、大人になった時、10歳でお母さんと一緒にやったこのチャレンジがどれだけの宝物になるんだろう。
そういう尊いお手伝いをさせてもらえることが、嬉しくて仕方がないんです。
10月の出版に向けて、チャレンジが始まったばかり。
進捗もちょこちょことお伝えしていきます。
別記事でも触れていますので、よかったら覗いてみてください。
キョウちゃんの物語世界に触れて驚いた
オンラインで初めてお話しするにあたって、共通の話題があったんですよ。
先月、依頼があり開催したなりきり演劇のイベント——古代日本の奴国の演劇を通して歴史を体験するというものなんですが、その写真をfacebook経由で、キョウちゃん親子が見てくれていて、キョウちゃんがすごく興味を持ってくれたらしいんです。日本の歴史、特に古代や神話がとても好きなんだそうで。
実際に話してみたら、その知識がものすごくて。
僕自体もそのイベントに向けてかなり勉強したつもりだったんですが、キョウちゃんの知識には全然及ばない。
読んでいる本の量が違うんですよね。学校に行かない代わりに、おうちでたくさん本を読んで、いろんな歴史と世界観を自分の中で深く落とし込んでいる。
学校では決してそこまで深く学べないようなところまで、自分なりの解釈として持っているんですよね。
今回キョウちゃんが紡ぐ物語も、世界各国の歴史に絡んでくる自分なりの物語なんだそうで。登場人物はなんと18人。シェイクスピア並みです(笑)。
そのキャラクター設定を事前に送ってもらったんですが、これが本当に10歳の子が考えたのかというくらい、しっかりした文章。
一人ひとりのキャラクターの性格、趣味、生まれ育った環境、考え方まで、こと細かに書いてある。
しかもお母さん曰く「私はノータッチなんです」と。
自分と向き合う時間が長いからこそ、一人ひとりのキャラクターのことも、しっかりと見つめていくことができているんでしょうね。
1989年に国連で採択された子どもの権利条約をわかりやすく伝える、ワニブタカレンダーというものが、うちの壁に掛けていますがその中に、「こどもは、あきるほどのじゆうなじかんのなかで、じぶんとであい、やりたいことをみつけだす」とあります。
まさにそうだと思います。急がなくていいんです。
そしてその18人のキャラクターの中に、ピザ職人がいるという話になったんですよ。
僕、実はピザ回しのパフォーマーもやっています。
最初に所属した劇団がピザ屋を経営していて、そこで働きながら役者修行をしていたんですが、その時に培ったパフォーマンスで。「じゃあちょうどいい」とピザ回しをしている動画を送ったんです。
そしたらお母さんからメッセージが来て、「ピザ職人の友達ができたって、キョウちゃんがすごく喜んでいます」と。
これがね、すごく嬉しかったんですよ。
しかもよく考えると、キョウちゃんと僕が友達になったというよりも、キョウちゃんが生み出したキャラクターであるピザ職人と、ピザ回しパフォーマーである僕が友達になった、ということなんだと思うんです。
そういう意味で「ピザ職人の友達ができた」って言ってくれたんじゃないかなと感じて。
キョウちゃんがまだ生まれていない頃に培ったパフォーマンスが、まさかこんな形でつながっていくとは思っていなかった。不思議な縁を感じました。
新刊『演技力を高める日常の使い方』出版キャンペーン
キョウちゃんの18人のキャラクター設定を読んでいて、僕は役者の「役作り」を思い出しました。
役者もまた、登場人物の人生を想像し、その人が何を食べ、何を見て、どんなことを考えて生きてきたのかを掘り下げていきます。
演劇の登場人物は人間だけじゃない。犬や猫、怪獣、場合によっては冷蔵庫や洗濯機、木や車を演じることもある。でもそういう動物や物であっても、結局は擬人化されているわけですから、演じるのは人間なんですよね。
そういう時に役作りのヒントがどこに眠っているかというと、やっぱり日常なんです。
日常で自分が味わう感情、周りで見る人間関係、全てが稽古になる。全てが表現のネタになる。
実は偶然にも、今日から僕自身の新刊のkindle書籍『演技力を高める日常の使い方』のキャンペーンが始まりました。
25年演劇をやってきて、役者仲間から「どうやったらお芝居が上手くなりますか」と聞かれることが多くて。その時に僕自身がやってきたことを、20個の視点でまとめた本です。
役者でない方がこの本を読んだらどんなことを思うんだろう、というのが僕自身とても気になっていて、役者じゃない方にとっては「表現をする」という意味でのヒントになるかもしれないし、逆にどんな感想を持つのか純粋に知りたいんですよね。
今日から3日間、通常800円のところ99円でキャンペーンをしています。よかったらぜひ手に取ってみてください。
今週のスポットライト——クコさんの「養生堂やすらぎカフェ」
さて今週、もうひとりスポットライトを当てたいのは、クコさんという方です。
クコさんがサブスタックに今まで上げてきた記事を全部読んで、3週間かけて長文引用リスタックしていました。
クコさんは薬膳や生薬の魅力を発信しているんですが、これだけ聞くと
難しそう
とっつきにくそう
そう思いますよね。
正直なところ、僕もそう思っていたんです。
ところがクコさんのやり方が全然違って。
桂枝(けいし)くん
芍薬(しゃくやく)ちゃん
生姜(しょうきょう)ちゃん
甘草(かんぞう)くん
大棗(たいそう)ちゃん
こういった生薬を一人ひとりのキャラクターにして、「養生堂やすらぎカフェ」という一つの物語形式で届けています。
この世界観がね、僕の好きな漫画「深夜食堂」や「バーテンダー」にすごく近いんです。
ふらりと立ち寄ったお客さんがいろいろな悩みを抱えながらやってきて、そこでお酒を飲んだりご飯を食べたりすることで、ちょっと心が軽くなっていく。
養生堂カフェもまさにそういう世界観で、読んでいると自分もそのカフェの中にいて、お客さんと生薬のキャラクターたちのやりとりを眺めているような感覚になれる。
香りすら漂ってくる感じがして。
しかもすごいのが、薬膳や生薬のことを「説明しない」んです。
普通こういうテーマだと、ついつい「この生薬にはこういう効能があって、こういう人に向いていて、飲み方はこうで」という説明チックなお話に陥ってしまうんですよね。
でもそうなった途端に読者は離れていく。
クコさんの物語にはそういう説明が全くない。
それぞれの生薬の効能や特性を、キャラクターの性格や役割として溶け込ませ、さりげなく体現しているんです。
読み進めていくうちに、芍薬ちゃん、桂枝くん、大棗ちゃん、……という名前と個性が自然と頭に入ってくる。
「誰かを内側から支えるのは芍薬ちゃんだよね」
「ついつい前に突っ走ってしまうのは桂枝くんだよね」
「何でも食べれそうな元気いっぱいなのは大棗ちゃんだよね」
気づいたらそのキャラクターたちと友達になっている感覚。
友達のことは学ぼうという意識ではないですよね。
一緒に時間を過ごすうちに、自然と相手のことがわかってくるのが普通。
薬膳や生薬のことを「学ぶ」のではなく、「仲良くなる」感覚に近い。
それがクコさんの養生堂カフェの魅力なんです。
なぜそんなキャラクターたちが生まれるのかというと、クコさん自身が一人ひとりの生薬に、日常の中で深く愛情を注いでいるからなのでしょう。
それがよく伝わってくるのが、クコさん自身の日常の記事です。
赤紫蘇ジュースを作った日、ビリヤニという料理を作った日、杏ジャムを作った日。そういう日常の何気ない記事を読んでいると、そこが養生堂カフェのお話とリンクしているんです。
こういう日常の中での体験や気づきから、あのキャラクターたちが生まれているんだなということが、じわじわと見えてくる。
日常で生薬と丁寧に向き合っているからこそ、キャラクターへの愛情が深い。
愛情が深いからこそ、読んでいる人が自然と親しみを感じる。
そういう流れがあるんですよね。
3週間で全記事を読みながらそういうことを考えていたので、お話を楽しむだけじゃなく、考える余白も与えてくれるシリーズだなと感じています。
今現在9話まであります。まだ追いつけます。1話からキャラクターたちと少しずつ仲良くなっていくのが、この養生堂カフェの正しい楽しみ方だと思うので、ぜひ1話から読んでみてください。
キャラクターたちと友達になった頃には、薬膳や生薬の考え方が自分の日常の中に自然と溶け込んでいるはずです。
ちなみに僕はキャラクターたちを知人の役者仲間の声にあてがえて楽しんでいます。
この物語も、いつかナレーションやキャラクターが声優さんや役者の声での物語になるのかなぁと、ひとりひそかに妄想をはかどらせております。
キョウちゃんの18人のキャラクターも、クコさんの生薬たちも、演劇の登場人物も、すべて日常の積み重ねから生まれています。
特別な人だけが物語を紡いでいくわけではありません。
キョウちゃんの物語、クコさんの物語、そして僕の演劇について、どれも一貫しているのは、
「急ぐ必要はない」
日々の出来事を大切に見つめ続けた人が、自分だけの物語を紡ぎ出していくのだと思います。
クコさんの記事の僕の引用リスタックリンクは、こちらからどうぞ。(画像をタップ)
僕の物語の考察と、クコさんの養生堂の世界観、同時に味わってみてください。
最後に、今週配信したPodcastのアーカイブです。
お時間あるときにどうぞ。











とても素敵に紹介していただき、ありがとうございます😊✨️
生薬達も喜んでいます。
また、いつでも養生堂にふらりとお立ち寄りください😊🍵🌿