幕が下りても物語は続く!
BACCHO TO THE FUTURE 5
今週の目ん玉飛び子さん(四コマ漫画)
目次
舞台が終わった、その後の寂しさと余韻
演劇が持つ力——言葉を交わすことで人がわかる
口が悪かった自分が変わったのも、演劇のおかげ
舞台は「3幕構成」で楽しめる
SNS発信の住み分けができてきた
今週のSpotlight——全国のばあちゃんたちへ
古き良き時代は、懐かしむより今作ればいい
舞台が終わった、その後の寂しさと余韻
今週の一番の出来事は、舞台の公演が無事に終わったということです。
舞台写真や裏話的なものはPodcastや他のSNSでやっていますが、ニュースレターではその公演を通して感じたことをお伝えしたいと思います。
公演が終わると、座組みは解散します。それぞれの役者がまた別の現場へと散っていく。打ち上げが終わったら、それぞれがそれぞれの日常に戻っていく。だからやっぱり、終わった後の寂しさというのはあるんですよね。
ただ、演劇を長く続けていると、座組みができて、公演が終わって解散する、というサイクルを何度も経験するので、その別れがそれほど寂しいものでもなくなってきます。どうせまた次の現場で会う。そこで生まれた友情や絆は、これからもずっと続いていくわけですから。会えなくて寂しいという感情が、だんだん薄れてきているんですよね。
演劇が持つ力——言葉を交わすことで人がわかる
舞台に立って、セリフを掛け合って、気持ちをぶつけ合う。
普段全然話さない役者同士でも、その掛け合いを通してなんかその人のことがわかってくるんですよ。完全にわかるわけじゃないけれど、なんか感じるものがある。
アスリートで言えば、対戦しているうちに昔からの親友みたいな感覚になることってありますよね。時代劇でも、ライバル同士が剣を交えることで、敵であるはずなのにお互いを讃え合う、相手のことは自分が一番よくわかっているような感覚になる。演劇でもまさにそれがあるんです。
今回の舞台でも、バチバチに敵同士として気持ちをぶつけ合うシーンをやった女優さんがいたんですが、打ち上げで「あのシーン、めちゃくちゃ来てくれてすごい気持ちよかった」「あそこ楽しかったよね」という話になって。普段だったら言い合いとかバチバチにやったら何か関係が悪くなりそうじゃないですか。でもお芝居の上で気持ちをぶつけ合うというのは、むしろそれがすごい心地よくて、終わった後に「あそこがすごくよかった」と言い合える関係になれる。
趣味も性格も、仕事も生活環境も、全く違う人間同士が一つの舞台を作り上げるために同じステージに立って、セリフを掛け合う。別に普段から深く話しているわけじゃなくても、意識とか気持ちとか言葉をお互いにぶつけ合うことで、なんかすごくその人のことをわかったような気持ちになって、自然と親近感が生まれていく。演劇ってそういうすごい力を持っているんだなと改めて感じます。
引っ込み思案の子たちと一緒に演劇をやったこともあって、最初はすごく恥ずかしそうにしていたんですが、自分とは違う人間を演じることで、普段の自分の性格や人間関係の中では決して出せないようなこと、自分では味わったことのない感情、自分の中では抑えてしまっている感情を、お芝居の中では出していいわけなんですよね。それを出したことで、こういうふうに自分の気持ちや感情を出していいんだという体験になって、少しずつ演劇を通して気持ちを言えるようになっていったりするんです。
しかも演劇では声を出さないとお客さんに聞こえないので、自然と声が大きくなってくる。声の大きさや張りというのは自信の根底にあるもので、声が大きくなることで相手の反応も変わってくる。相手の反応が変わったことで自分自身も自信がついて、ハキハキと言えるようになっていく。そういう良い循環が生まれることもある。
演劇を始めた頃に師匠から「演劇は一人の人生を変える力を持っている」と言われていたんですが、それはお芝居を見るお客さんが感動して明日も力強く生きていこうと励まされるということだけじゃなく、やっている人間自身にも、そういう素晴らしい力を持っているんだなということを、舞台に立つたびに感じるんですよね。
口が悪かった自分が変わったのも、演劇のおかげ
実は僕、結構口が悪いタイプだったんですよ。
人の悪口ばかり言っていた時期もあったし、自分の劣等感からくるものなんですが、とにかく人の悪いところばかり見るような人間だったんです。
でも演劇をずっと続けていく中で、特に演出をするようになってから変わってきた。
演出家としてダメ出しをするよりも、役者の良いところを見つけて、そしてそれを褒めてやっていく方が、役者がどんどんノリに乗って、その役者の個性がどんどん出てきて、結果的にすごく良いお芝居になっていく。それを何度も体験することで、人の良さや魅力を見ることができる自分になっていったんですよね。
演劇をやっていておかげで人の良さとか魅力を見られる自分になれた。これが自分にとって一番大きかったことの一つだと思っています。
ちなみに僕、コミュニティというものがすごく苦手なタイプなんですよ。協調性があってチームで動くというのも得意ではないんですが、演劇の座組みというのは期間限定で一緒に何かに取り組むというもので、これがすごく自分に合っているんですよね。本番期間は一緒にいるけれど、公演が終わったら解散。その期間限定の中で、みんなが気持ちを一つにしてお客さんに良いものを届けようとする空気の中に自分を置けるというのは、すごく良い環境に飛び込めたなと思っているんです。
舞台は「3幕構成」で楽しめる
演劇って、映画と違って残らないんですよね。本番が終わったらおしまい。それがずっともったいないなと感じていました。
でも今回の舞台を通して、舞台には3幕構成があるんじゃないかと気づいたんです。
第1幕は、本番前。稽古風景やキャスト紹介を通して、どれだけ盛り上げていくか。見に来てくれる人に「楽しみだな、面白そうだな」とワクワク感を伝えていけるか。SNSがメインになりますが、今回のキャスト紹介でそれができたことはすごく良かったと思っています。
第2幕が、本番。お客さんにしっかり楽しんでもらう。ここが一番の核であることは変わらない。
そして第3幕が、本番の後。ここがほとんど活かされていないんですよね。役者が集合写真を上げて「ご来場ありがとうございました」と投稿して終わり、というパターンが多い。達成感とともに一気に熱が冷めてしまうというのもわかるんですが、もったいないなと感じていて。
今回はカメラマンさんが180枚以上写真を撮ってくれているんですよ。それをたった1回アップするだけじゃなく、小出しにしながら発信していって、このシーンはこういう背景があったとか、このやりとりの裏話はこうだったとか、舞台裏のエピソードを1週間かけて発信していく。そうすることで、見に来てくれたお客さんがあの感動を思い出してもう一度楽しんでもらえるし、見に来られなかった人にも舞台の雰囲気が伝わっていく。
実際に今週から僕のXとInstagramでそれをやっています。写真を1枚ずつ小出しにしながら、そのシーンにまつわる話を添えて発信していく。よかったら覗いてみてください。
SNS発信の住み分けができてきた
今回の舞台を通して、SNSの住み分けというものも見えてきました。
Substackがメインの発信の場ではあるんですが、他のSNSをどう使うかというのがずっと曖昧だったんですよね。Substackでは長めのじっくり読んでもらうコンテンツ、XやInstagramにはもっと気軽に届けるコンテンツ。それぞれで毛並みが違うものを楽しんでもらえるような発信ができるようになっていきたい。
舞台の告知、キャスト紹介、終わった後の発信という流れを実際にやってみることで、そのイメージが具体的になってきた。これが今回の舞台を通して見えてきた、表現者としての自分のスタイルの一つです。
ニュースレターでしか話せないことはここで、Substackには書ききれない細かいことはXやInstagramで——そういう住み分けが、だんだん自然にできてきている感じがあります。
今週のSpotlight——全国のばあちゃんたちへ
今週スポットライトを当てたいのは、全国のばあちゃんたちです。
「ばあちゃん喫茶」というプロジェクトに、僕も関わっています。全国にばあちゃん喫茶を広めて、社会のインフラにしていくという取り組みです。
ばあちゃんたちが生き生きと働いて、若者の悩みを聞いたり、豊富な経験と知識を届けたりする喫茶店が全国にある。そういう社会があったら、歳をとることも悪くないな、むしろ面白そうだなと思えませんか。
僕の表現者としてのスローガンは「大人になるって楽しそう。子供がそう思える未来を目指す」なんですが、子供が大人の姿を見て大人になることに希望を持てるように、今の大人たちが老後に希望を持てるためには、ばあちゃんたちが元気に生き生きとしている姿が必要なんじゃないかと思っているんです。
高齢化社会、介護問題、年金問題——社会は不安を煽ることばかりです。老後の生活が心配、年金がどうなるかわからない、なんとかしておかないといけない——そういうことばかりが目に入っていると、自分たちの未来に希望が持てなくなってしまう。
でも、ばあちゃんたちがゲラゲラ笑いながら元気に喫茶店で働いていて、若者たちの話を聞いてくれて、自分たちとは全然違う時代を生き抜いてきた知恵と経験を持ったばあちゃんたちが、全国にいる。そういう社会だったら、歳をとるのも悪くない、むしろ楽しみだなと思えますよね。
古き良き時代は、懐かしむより今作ればいい
「3丁目の夕日」的な、近所のばあちゃんと子供が交流していた昭和の時代を懐かしむ声をよく聞きます。近所同士のつながりがあって、ばあちゃんたちが子供たちと一緒に遊んでいて、すごく元気だった昭和の古き良き時代。
でも懐かしんでいるなら、今それを作ればいいんじゃないかと思うんですよ。昭和だったからこそ良かったわけじゃない。SNSやAIで人間関係が希薄になっているとよく言われるけれど、だからこそ昔のそのつながりが大事なんだと感じるなら、今その良き時代を作っていけばいい話で。何も昔は良かったと懐かしむだけじゃなく、今それをやってしまえばいい。それがばあちゃん喫茶という取り組みの意味だと思っています。
僕の母親は75歳で、まさにばあちゃん世代なんですが、ずっと言っているんですよ。「50代には50代の楽しみがある。60代には60代の楽しみがある。70代になったら、60代の時には思ってもみなかったことが楽しめるようになった。どんな年代になっても楽しいことはいっぱいあるんだぞ」と。
そういうふうに思える母親の子でいられることが、自分の誇りだと思っています。だからこそ僕も、子供が大人になるのを楽しみだと思えるような生き方をしていこうと、今も表現者として動き続けているんですよね。
ばあちゃん喫茶を全国展開するためのクラウドファンディングが今週からスタートしました。ちょっと中を覗いてみてもらって、興味があれば応援していただけたら。拡散やシェアだけでも、とても嬉しいです。
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今週も最後までお読みいただきありがとうございます。
以下に今週のPodcastを一覧にしています。
今週は主に舞台本番の裏話をメインにお話しています。
お時間とご興味ありましたらぜひお聴きください。
テキストでも読めますので、目でも耳でもお好みでお楽しみください。












