先週本番だった「わすれゆき」の共演者、ヒロシくんが打ち上げで話していたことを、ようやく自分の中で言語化できたので、そのお話をしたいと思います。
ヒロシくんの役は、とにかくセリフが多かったんですよ。
長ゼリフ。
長ゼリフ。
また長ゼリフ。
しかも、1か所でも噛んだり間違えたりすると、そこからリズムが崩れてしまう。
かなりプレッシャーのかかる役でした。
それでも5公演ほぼノーミスでやり切ったんですね。
その理由を聞いたら、
「どんな状況でも自動的にセリフが出てくるくらいまで稽古した」
と言っていたんです。
これ、僕もまったく同じ考えなんですよね。
僕も稽古では、セリフが自動的に出てくる状態まで持っていきます。
そうしないと、本番で気持ちだけに頼ってしまうからです。
感情に任せてしまうと、言葉が潰れるんですよね。
本人はすごく気持ちよく演じている。
でも、お客さんには何を言っているのかわからない。
そういうことが起きてしまいます。
じゃあ、自動的にセリフが出るようにするというのは、感情を捨てて機械みたいに話すことなのか。
そうじゃないんです。
今日、そのことを改めて実感した出来事がありました。
車を運転していたら、20年くらい前によく聴いていた、ジャンヌダルクの曲をふと口ずさんだんです。
タイトルは忘れました。
でも歌詞は、スラスラ出てくる。
運転して、信号を見て、右左折して、周りも確認して。
別のことをたくさんやっているのに、歌は普通に歌えるんです。
それは、昔何度も何度も歌って、体が覚えているからなんですよね。
これって、舞台も同じなんです。
歌手だってライブでは、その日の会場の空気も違うし、お客さんの反応も違います。
毎回同じ気持ちでは歌えません。
でも歌詞は、自動的に出てくる。
だからこそ、その日の感情を乗せる余裕が生まれるんです。
ここで思い出すのが、僕の演劇の師匠によく言われた言葉です。
「セリフは歌え。
歌は語れ。」
最初は意味がわかりませんでした。
でも今なら、すごくよくわかります。
まず「歌は語れ」。
歌にはメロディーがあります。
歌詞も決まっています。
つまり、レールが敷かれているんですね。
だから、そのレールに乗るだけじゃなく、ちゃんと語りなさい。
気持ちを届けなさい。
ということです。
逆に「セリフは歌え」。
セリフにはメロディーがありません。
だから、その場の勢いだけでしゃべると、言葉が崩れてしまいます。
そこで、自分の中でリズムや言い回し、間の取り方をしっかり作っておく。
つまり、自分だけのメロディーを作るんです。
その型があるからこそ、本番では感情を思い切り乗せられる。
これって、たい焼きやたこ焼きと同じなんですよね。
どんなにおいしいたい焼きを作ろうと思っても、型がなければ作れません。
まず型がある。
その上で焼き加減や火加減、あんこの量や焼き方に個性が出る。
演技も同じなんです。
まず型がある。
その型が体に入るくらい稽古する。
だから、本番では自由になれる。
ヒロシくんが言っていた、
「自動的にセリフが出てくるようにした。」
というのは、まさにこのことなんだと思いました。
だから多少のハプニングが起きても崩れない。
相手役の間が変わっても対応できる。
結果として、5公演ほぼノーミスでやり切れたんでしょうね。
ようやく僕の中でも、
「セリフは歌え。
歌は語れ。」
という言葉の意味が、一本につながりました。
実はこの話、今書いているKindleの『演技力を高める日常の使い方』に書いたかな・・?
たぶん書いてない。












