バッチョ・トゥ・ザ・フューチャー
楽屋からにて「ばちょぺでぃあ」
重さは旅をする
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重さは旅をする

役者と演出家の憑き物の違いについて

先週の舞台が終わって5日。

役抜けの儀式も終えて、ようやく体が軽くなってきました。

不思議なんですよね。

役を背負っていたものが、すっと抜けていった感じがするんです。

役者をやっていると、この感覚は毎回あります。

役作りをしていくにつれて、自分とは違う人格が少しずつ自分の中に入ってくる。

だから、だんだん体が重くなっていくんですよね。

そして本番が終わって、役抜けの儀式をすると、一気に軽くなる。

もちろん千秋楽が終わった時点でも少し軽くなるんですけど、本当に元の自分に戻るのは、役抜けの儀式をして、

「これで、この役とはお別れです。」

と区切りをつけた時なんですよね。

ところが、演出は真逆なんです。

演出をやっている時は、稽古が進めば進むほど体が軽くなっていくんですよ。

最初が一番重い。

まだ何も形になっていない状態で、

「ああしよう。」

「こうしよう。」

と、全部頭の中だけで抱えている。

その時が一番しんどいんです。

でも稽古が始まって、

「ここはこう動いてください。」

「このセリフはこんな気持ちで。」

と役者へ渡していく。

すると、自分の中にあったイメージを一つずつ手渡していく感覚になるんですよね。

だから、その分だけ軽くなっていく。

逆に役者は、その演出や役のイメージを受け取る側なので、どんどん重くなっていく。

同じ舞台を作っているのに、役者と演出では、まったく逆の感覚なんです。

ただ、演出は本番当日になると、また別の意味で一気に重くなります。

舞台全体の責任を背負うからです。

役者。

照明。

音響。

舞台美術。

全部を見渡して、最終的に判断するのが演出です。

もちろん照明さんや音響さんにお任せすることもあります。

でも、お任せすると決めたのも演出。

つまり、その判断の責任は全部自分にあるんですよね。

だから、本番の日は、また別の重さがあります。

そして幕が下りた瞬間、一気に全部が抜ける。

演出家って、一番抜け殻になりやすいんじゃないかなと思います。

実際、僕も初めて演出をした時は、完全に燃え尽きました。

1カ月くらい、何もやる気が起きなかったんですよ。

本当に抜け殻でした。

そこから学んだことがあります。

燃え尽きないためには、次を決めておくこと。

演出をしていると、

「この舞台に全部詰め込もう。」

と思ってしまうんですよね。

でも、

「これは次の舞台でやろう。」

「これはまた別の作品で挑戦しよう。」

そうやって、あえて残しておく。

次に向かうものを用意しておくだけで、燃え尽きにくくなるんです。

全部を出し切るんじゃなくて、次へつながる種を残しておく。

それを意識するようになってからは、演出を終えても以前ほど燃え尽きることはなくなりました。

そんなわけで、今週は舞台が終わった直後ということもあって、役者や演出の裏話をいろいろお話ししてきました。

来週からは、またいつものポッドキャストに戻る……かもしれませんし、まだ舞台の話をするかもしれません。

その時の気分次第です。

ということで、今日はこの辺で。

最後まで聴いていただき、ありがとうございました。

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