バッチョ・トゥ・ザ・フューチャー
楽屋からにて「ばちょぺでぃあ」
練り消しは滅びない
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練り消しは滅びない

あくまでも仮説あくまでも仮説あくまでも仮説

練り消しって、何十年も続く予防医学なのかもしれない――そんな仮説をお話ししたいと思います。

娘のシール帳ブームが過ぎ去りまして、今度は練り消しにハマってるんですよ。

練り消しって、僕の世代にもありましたけど、もう30年以上前の話ですよ。

それがいまだに小学校で生き残っているんですね。

「練り消しって何?」

という人のために、一応補足しておきますと、まあ、ググってください。

「練り消し」で調べれば、すぐ出てきますので。

この練り消し、本当に流行ってますよね。

というか、ある世代になると必ずハマるんでしょうね。

僕も小学校2年生、3年生、4年生くらいの頃、消しゴムのカスを集めて練り消しを作って、

「どこまでデカくできるか」

みたいなことをやってました。

娘も、今まさにそれにハマっているんです。

なんか最近、妙におとなしいなぁと思っていたんですよ。

何をしているんだろうと覗いてみると、テーブルにスティックのりを塗りたくって、指でペンペンペンペン叩いているんです。

そうすると、だんだん固まってきて、練り消しになるというのを発見したらしいんですね。

それを毎日、延々とやってるんですよ。

もう、ジョジョ第5部に出てくる、

「ちょっとずつでいいんだ……」

とか言いながら、トントントントン叩いていくスタンドみたいな感じで。

クラフト・ワークだったかな。

そんな感じで、

トントントントントントン。

ちょっとずつ、ちょっとずつ練り消しを育てていくんです。

最初は透明だったり白かったりしたスティックのりが、毎日毎日、練り練り練り練り。

指でこねていく。

すると娘が、

「ねればねるほど、いろがかわる!」

と言うんですよ。

寝る寝る寝るねみたいに、色が変わると言うんです。

いや、それ、あんたの手垢が練り込まれているだけやないか。

きったねぇな、と。

今思えば、僕が子どもの頃の練り消しも、きったねぇんですよ。

練れば練るほど、だんだん色が濃くなっていくじゃないですか。

あれ、自分の手垢が練り消しの中に混ざっていってるからなんですよね。

不衛生極まりない。

で、今度、夏休みに「子ども市」というイベントがあるんです。

子どもたちだけで、お店やゲームを考えて運営するイベントなんですね。

そこで娘が、

「練り消し作り体験」

を商品として売ろうと考えているらしいんですよ。

まあ、子どもからすれば面白いでしょう。

でも、親からすると、

「テーブルにのりを塗って、延々と指で叩いて、自分の手垢を混ぜ込んでいく方法」

をわざわざ教えるのって、どうなんだろう、と。

しかも、お金を払って。

絶対、子どもは面白がるじゃないですか。

家に帰っても、学校でも、量産するんですよ。

そんな菌だらけの塊を作る技術を、サービスとして提供する。

そのサービスに親がお金を払う。

親が納得するだろうか、という問題があるわけです。

でも、よく考えてみると、そんなバイ菌だらけのものを、子どもたちは常に触っているわけですよね。

今の時代って、何でもかんでも抗菌、除菌、無菌。

すぐアルコール。

とにかく、菌は悪。

そんな世界観じゃないですか。

そんな時代に、この練り消しという、自分の手垢がたっぷり染み込んだ謎の物体を持ち歩くことで、実は免疫力を高めているんじゃないか。

僕は、そんな仮説を思いついたんですよ。

小学校低学年の子どもって、まだまだ大人に比べて免疫力も弱い。

だから、ある程度いろんな菌に触れることで、免疫をつけていくことも必要だと言われますよね。

何でもかんでも無菌にするのではなくて。

そして、練り消しって、ほとんどの子どもが一度はハマるんです。

僕もそうでした。

娘もそう。

もしかすると、練り消しという遊びは、子どもたちが免疫力を高めるための装置を、自らの手で作り出している行為なのではないか。

だからこそ、体が欲している。

生き残るための本能として、子どもたちは練り消しを作っているのではないか。

そして、それが何世代にもわたって滅びずに続いている理由なのではないか。

なぜなら、生きていくのに必要だから。

……もちろん、これは完全に僕の仮説です。

何の医学的根拠もありません。

勝手に面白がって言っているだけです。

だから逆に考えると、子ども市での「練り消し作り体験」というのは、

「きったないものを量産するサービス」

ではなく、

「未来の免疫を育てるための予防装置を、自分の手で作る技術を教えるサービス」

なのかもしれません。

そう考えると、実はものすごく価値のあるサービスなんじゃないかな、と。

……そんなふうに思ったところで。

嫁様や、一緒に店を出す子どもたちの親御さんたちから、

「いや、ちょっと練り消しはやめておきましょう」

ということで、その案はあっさり却下されてしまいました。

というお話でした。

とにかく、練り消しという文化、なかなか滅びませんね。

こんな仮説を持ってしまったものだから、娘に対して、

「練り消しは汚いぞ」

と、以前ほど強く言えなくなってしまった親でございます。

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